コンパクトシティと立地適正化

コンパクトシティと立地適正化  


この二つの言葉を皆さんはご存知でしょうか。この二つの言葉がこれからの私たちの暮らしを大きく変えることになるかもしれません。 しかし、あまりこれらのことについて議論が行われていないことに違和感があります。  

コンパクトシティという言葉は、最近新聞などでも見かける機会が多くなっています。住んでいる地域を小さくまとめ住みやすい町を作るというもので、立地適正化はその制度を進めるための、いわゆる土地の線引きを決めるようなものです。住居や商業施設などの誘導区域を設定して、ここに集約することが望ましいといった地域を決めていきます。立地適正化の目玉は居住誘導区域で、ここに様々な生活基盤を集中させ、お年寄りが歩いて買い物や病院に行けたり、交通基盤を整備して他の地区への通勤、通学を便利にするなど様々な特典が与えられるようになります。  

この制度自体は確かに悪いものではないと思います。今後高齢化社会が進行するなかで、町を小さくまとめ行政サービスの行き届いた住みよい町づくりを目指す。行政もお金が無いなかで、町を小さくまとめることによって経費を削減しながら行き届いた行政サービスが可能になるなどのメリットがあります。  

ただ、問題はこの居住誘導区域から外れた地域に住んでいる人たちです。居住誘導区域外の地域は白地として、今後行政サービスなどが受けにくい状況になる可能性があります。また、住宅会社などによる住居の建築が規制されるようになり、3軒以上の家を建てる場合には許可が必要となります。山間地では土砂災害危険区域の指定もあり家の建て替えが困難な場所も増えている状況です。  

更にもう一つの問題点として、資産価値の問題があります。既に不動産業界などでは話題となっているのですが、白地の地域では今後行政からの支援が受けられないということで、不動産としての価値が大きく下がるものと判断されます。このことによって、新築住宅においても急激に資産価値が下がる可能性があります。このような場合、余程自己資金や収入面などがしっかりしていないと、家の建て替えの際に銀行からの融資が受けにくくなる可能性があるのです。  

ただでさえ人口減少の著しい中山間地において、このような政策が実施された場合人口減少は加速し、地域社会はあっという間に崩壊することが予測されます。国や市などの行政も当然こうなることは予測しており、空き家対策法などを整備しこれらの管理にあたろうとしています。 更に、一時的に人口が加速的に減少する中で空き家や耕作放棄地が増加し、生活が困難となることが予測されるため、高齢者の生活支援などを目的にNPOを整備して対策にあてるという方針が検討されています。 私も中山間地のNPO団体に所属していますが、私たちの活動が結果的には集落が無くなる際の後始末のような活動になってしまうのではないかと危惧しています。

そして、最終的に人がいなくなった地域については木を植えて森林に戻すか、農地を集約して活用するといった方向で検討が行われています。 日本人は長い歴史の中で、山と町に住む人々がバランス良くそれぞれの暮らしを守り国土を守ってきました。 中山間地の人々の暮らしには長い歴史があります。

国土交通省の2050年の無居住化予測ではこのような山間地の大半が無居住化すると予測されています。 以前にも記載しましたが、秋田藩の家老で秋田藩繁栄の基礎を築いたとされる渋江政光は以下のような遺言を残しています。

「国の宝は山也、山の衰えは国の衰えにつながる」

本当にこのまま、日本は山を山で暮らす人々の暮らしを捨ててしまっていいのでしょうか。 そして、このようなことがほとんど議論さえ行われずに進められてしまっていることに憤りを感じます。微力ではありますが、この情報発信によって少しでもこのことを知って頂き、考えていただけるきっかけになればと思います。


自然の伝道師

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